以下の本は、著者:三木那由他のエッセイ、下から順に刊行されているものを上から順に読んでいった。
- 言葉の道具箱
- 言葉の風景、哲学のレンズ
- 言葉の展望台
刊行順に読むと、作者がトランスジェンダーでそのことを、「言葉の展望台」にて明かすことになっている。「言葉の道具箱」から読んだため、「なんでこんなに性別にこだわりがあるんだ?」どうも、トランスジェンダーの方のようだと、感じながら読み進めた。
「言葉の展望台」まで読んで、作者の方は、性別をトランスされており、現在は生まれたときの性とは異なる性で生活されており、自身の意識における性差の不一致は克服されている。それを克服してもなお、一般生活における偏見には悩まれているようだ。それが言語哲学の問いとして、立ち現れている。
この方はトランスの話題はするが、性的嗜好について触れられることはない。
個人的に気になるのは、マジョリティ世界のLGBTQ+という略語のわからなさ。LGBは性的嗜好で、Tは自身の性差の不一致で完全に別モンだ。Q+はまだ勉強不足でよくわからない。
なんでもマイノリティを一カ所に押し込めて語ろうとする、マジョリティの不遜がマイノリティには不満、マジョリティにはその違いが分からないというところで、すれ違うということは理解できる。他人のことはほっとけよと思うが、世間はそういかないらしい。
著者が書いている中で印象的なのは、「言葉を奪われる」という表現で、マジョリティ世界にない表現をマイノリティが作り出したとき、その言葉をマジョリティが都合よく意味を変容し吸収する。これは、マイノリティの分かって貰えなさを端的に表していると感じる。
物事への視点の置き方はとても参考になる一冊でした。
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