読書

科学を語るとはどういうことか
科学者、哲学者にモノ申す

須藤靖・伊勢田哲治
河出ブックス

科学者と哲学者の分かりあえなさから、人と人の理解を重ねることの難しさをあぶり出している。
他人は自身と社会(定義微妙)に害をなさないかぎりは眺めて気にしないこと、口を挟むのはそれなりに調べてからにするべきだ。

両者ともに、知識を詐術に使う人に対して、批判的であるということ。

科学者の理論的土台もそれほど強固な物ではなく、揺らいでいること自身は彼らも認識しているが、認識している事実を忘れている人が多いようだ。他方、哲学者自身は、哲学界のゆったりとした歩みを認識して受け入れている。そのところが実利主義者が多い科学者と相容れないポイントかなと。

いまの急き過ぎている世の中は、科学者的視点からの言葉が優勢で、もう少し、バランスのある言葉があふれる世界がよいなと思う。

何にせよ、それなりに理性のある人たちが、お互い異なるスタンスの根源を探ろうと会話を重ねることにとても価値があった。
お二人はそれなりの齢なので、いまの若い人たちが同じテーマで議論すると、また異なる結論へ収斂するかもしれず興味深い。

この記事の執筆者は Ciel

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