セーラー服と黙示録
古野まほろ 著
約300頁の軽めの推理小説。
前半は、キャラクター紹介と、世界構築に費やされており、時々新本格を読みあさった者にとっては少し笑える話が挟まっている。
余談だが、「本質直感」の本家は続きがでない。
本書は紹介的な内容のウェイトが高いため、終盤に発生する事件は蛇足な感じがした。意図的に、この部分を素早く終わらせることで、主人公の優秀性を出しているのかもしれないが、事件に巻き込まれた二人の扱い方が雑で、事件が作品の中心になりきれていない(推理小説では事件とは物語にとって核になって欲しいという個人的な願望)、ほぼ今後への伏線扱いと読めてしまうところは残念だった。
物語には、3人の探偵がおり、得意分野による分業の形で話が進む、それぞれのキャラクターの特徴を生かした謎解き解説は、読み物として面白いと思った。
作品の世界観とキャラクターの構築には成功していると思われ、今後の展開が大いに気になる。
学園物で、主人公は高2設定なので、学園生活の残時間は少ないと思われる(某探偵コ○ンのような時間無限ループはご勘弁いただきたい+留年はありえない)、その制約も生かして、作品の裏にある世界系中二設定の回収、シリーズの完結をしていただきたい。
既にシリーズ2冊目「背徳のぐるりよざ」は刊行されているので、これから読む。2冊目で物語に決着が付いてしまっても驚きはしない。
久々に物語の結末が気になるシリーズである。
スピンオフ的な短編「セーラー服とシャーロキエンヌ 穴井戸栄子の華麗なる事件簿」も出版されているようなので、こちらも機会があれば読みたい。
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